文字を大切にしたい人。

日々を文字で残したいんです。

知りたくても分からない儚さ物悲しさ。

特定の分野において、その先を知りたくても分からない、という感情が好きです。

 

太宰治『女生徒』より

ーーおやすみなさい。私は、王子様のいないシンデレラ姫。あたし、東京の、どこにいるか、ごぞんじですか?もう、ふたたびお目にかかりません。

 

最後のこの箇所が特に好きです。主人公の女生徒は名前が出てきません。朝起きてから夜に寝るまで、ずっと彼女の目線で一日の出来事や思いが淡々と語られていきます。初めて読んだ時はなんと何も起こらない山場の無い話だろうと思ったものです。

一日をずっと見てきて、もう眠りにつく、明日も同じように目覚めるのか、この子の名前は何というのか、東京のどこかとは何処だろう、でももう語りが終わるので知る術が無い。こんなに一日一緒に過ごした彼女とはもう二度と会うことは無い。この先はどう生きていくのか、どんな生活をしながらどんなことを思うのか。

作者が誰・何処をモデルにしてこの話を書いた、という知識はあるとしても反映させません。ただ答えが見つからないことを、話の中だけで完結させて考えて楽しんでいるんです。

 

●絵画に描かれている人物について想像することも大好きです。

今書きながら浮かんだのは

クロード・モネ作「日傘をさす女」

でした。モネの最初の妻をモデルに描いたものだそうです。風に吹かれながら女性がこちらを見ています。少し奥の方に子供がいます。青空に雲が漂い、日傘をさすほどの日差しのある日。彼女はこちらを向いていますが、反対の方=向こう側にはどんな景色が広がっているんでしょう。少し高い所に立っているように見えるので、どこか見下ろせるんでしょうか。草原が少し続くんでしょうか。何か建物や山が眺められたりするんでしょうか。暖かい日差しなのでしょうか。

 

分からないから解明したい!というわけではありません。小説でも絵画でも、その中の人物に思いを馳せて想像することが大好きなだけです(*´ω`*)話や描かれたものに良いな、素敵だな、と惹き寄せられて、そこから自由に発想します。自分が国語や美術という教科を好きな理由の一つかもしれません。